富士通、世界初 量子とHPCのハイブリッド計算を実現する技術を開発

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火曜日, 11月 8, 2022
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次世代コンピューティングの専門知識がなくても量子化学計算を高速かつ高精度に実行可能

東京, 2022年11月8日 - (JCN Newswire) - 当社は、量子化学計算(注1)の問題に対して、量子コンピューティング技術とハイパフォーマンスコンピューティング(以下、HPC)を組み合わせて自動的にハイブリッド計算する量子・HPCハイブリッド計算技術を世界で初めて開発しました。量子コンピュータやHPCのハードウェア層だけでなく、それらの上位層の各アルゴリズムまでを自動で組み合わせて最適計算を可能にする技術は世界初となります。

この技術は、量子コンピューティング技術やスーパーコンピュータ「富岳」(注2)に代表されるHPC技術、量子インスパイアード技術(注3)「Fujitsu Quantum-inspired Computing Digital Annealer」(以下、「デジタルアニーラ」)などのこれまで培ってきた次世代コンピューティング技術を結集し、量子化学計算の問題に限らず、お客様の解きたい問題に対して計算時間や演算精度、コストといった要件に応じてAIが最適なコンピュータを自動で選択し演算できるソフトウェア構想「Computing Workload Broker」の先駆けとなるものです。

本技術は、世界最大クラスの39量子ビットの量子コンピュータシミュレータ(以下、量子シミュレータ)と「富岳」のCPU「A64FX」を搭載した「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX700」を用いて、利用者の解きたい量子化学計算の問題に応じて最適な計算手法をAIが自動で組み合わせて選択するものです。これにより、利用者は専門的な知識が無くとも、解きたい問題に対して最適な形で量子シミュレータとHPC技術を利用可能になります。

当社は今後、本技術の有効性検証やさらなる技術開発を通じて、高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service」(以下、「CaaS」)に適用するなど、誰もが専門知識を必要とせずに利用可能なコンピューティング基盤の開発を進めていきます。

背景

当社は長年に渡り、「富岳」に代表される高度なHPC技術に加え、「デジタルアニーラ」や次世代の量子コンピューティング、AIなどの分野において最先端の技術を開発、提供しています。2022年9月末には、新しい量子アルゴリズム開発を推進するため、世界最大クラスの39量子ビットの量子シミュレータを開発したほか、今年度より、富士フイルム株式会社(注4)様や東京エレクトロン株式会社(注5)様と量子シミュレータを利用した材料分野での共同研究をそれぞれ開始しており、計算化学領域における量子コンピュータアプリケーションの研究を進めています。

これらのコンピューティング技術は、複雑化する社会課題解決のための計算需要を満たしサステナブルな社会の実現に不可欠な技術になりつつありますが、特定の問題に対して性能を発揮する特化型のため、利用者が自身で解きたい問題を最適に解けるコンピュータを選択するとともに性能を最大化するには多くの専門知識が必要となります。

さらに今後は、複数のコンピュータを組み合わせて問題を最適に解けるようになる一方で、専門家でも特化したコンピュータと問題の特性を結び付けて選択することは困難となり、次世代コンピューティング技術を社会課題の解決に広く適用するにあたり大きな課題となります。

そこで当社は、専門的な知識なしで次世代コンピュータを容易に利用できる新たなソフトウェア構想「Computing Workload Broker」の実現を目指し、このたび、「Computing Workload Broker」の先駆けとなる量子・HPCハイブリッド計算技術を開発しました。

「Computing Workload Broker」について

「Computing Workload Broker」は、量子化学計算の分野に限らず、利用者が解きたい問題に応じて、大規模なHPCクラウドや量子コンピューティング、「デジタルアニーラ」、量子シミュレータなど、利用者のニーズに合った適切な計算資源をAIが自動で選択し、複雑な問題であっても専門知識なしに高速かつ高精度な演算を可能にするソフトウェア構想です。「Computing Workload Broker」は複数のハードウェアデバイス単位の計算処理最適化やプラットフォーム単位の計算配分最適化などの自動化をサポートするため、利用者の解きたい問題に応じて高速に計算する環境を実現します。

量子・HPCハイブリッド計算技術について

今回、創薬や新材料開発で利用される物質の特性を計算によって明らかにする量子化学計算の分野において、「Computing Workload Broker」の先駆けとして、量子シミュレータとHPCの2種類のコンピュータを自動で最適に組み合わせて高精度と高速性を両立して計算する量子・HPCハイブリッド計算技術を開発しました。

従来の技術では1つの計算アルゴリズムの中で、量子コンピュータやHPCといったハードウェア層の手段を組み合わせるだけに留まっていたのに対し、本技術ではそれを拡張し、量子アルゴリズムやHPCアルゴリズムといったより上位層で複数のアルゴリズムを自動的に組み合わせた点が世界初となります。

1. 量子・HPCアルゴリズム判別技術
量子化学計算で用いられるアルゴリズムでは、精度の高い解を得るまで何度も反復計算する必要があり、原子間の距離の変化に伴い、量子、もしくはHPCのどちらのアルゴリズムが最適なのかを適切に判断できない課題がありました。今回、分子に対するアルゴリズムの収束の様子を分析することでどちらのアルゴリズムを用いると精度が高いかを推定可能な技術を開発しました。HPCアルゴリズムが精度的に不得意とする問題では、アルゴリズムが解を算出するまでの収束状況に特定のパターンが検出されるため、問題に対して試験的にHPCアルゴリズムで前処理を実行することにより、最適なアルゴリズムの判別が可能となります。

2. 計算時間推定技術
量子化学計算では、無数に存在する分子構造ごとの収束性の正確な推定が難しく、事前に精度の高い解を得るための時間や費用の見積りが困難なことが課題でした。そこで、独自に開発を進めている適応型AI技術を用いて、分子構造とアルゴリズムの反復計算と計算時間の関係性を学習することで、事前に計算量を推定可能なAIモデルを構築し、精度の高い解が得られるまでの計算量をもとに必要な時間や費用の算出を実現しました。

上記2つの技術により得られた量子・HPCアルゴリズムの判別情報や、推定の計算時間と費用に加え、計算資源の使用状況も加味することで、利用者が望む計算時間や費用に応じて量子化学計算の性能を最適化することができます。これにより、利用者は、量子・HPCといった計算資源を意識せずに、自身の要望に最も沿う形で、量子化学計算の問題を解くことが可能になります。

今後について

当社は今後、量子・HPCハイブリッド計算技術の有効性検証やさらなる技術開発を進め、将来的に「Computing Workload Broker」を「CaaS」の技術として適用するなど様々な形でお客様に提供することを通じて、誰もが容易に最先端のコンピューティング技術を利用可能にすることを目指します。

本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2022/11/8.html

概要: 富士通株式会社

詳細は http://jp.fujitsu.com/ をご覧ください。

Source: Fujitsu Ltd

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